ウシマル ヒロユキ   USHIMARU HIROYUKI
  牛丸 弘行
   所属   朝日大学  法学部 法学科
   職種   講師
研究期間 2024/04~2026/03
研究課題 投資運用業者の取引の過誤に関する法的責任
実施形態 競争的資金等の外部資金による研究
研究委託元等の名称 全国銀行学術研究振興財団
研究種目名 法律
研究機関 朝日大学法学部法学科
代表分担区分 研究代表者
概要 誤発注に関しては、様々な事例があるが、著名なものとして、証券会社誤発注損害賠償請求事件が挙げられる。当事案では、原告の証券会社は、売り注文を取り消す取消注文を行ったが、東京証券取引所のコンピュータシステムに瑕疵があり、売買停止措置が行われなかったため、損害が生じたとして、損害賠償を請求した事案である。本研究では、主として、次の2つの事項の検討を行いたい。   第一に、第一審(東京地判平21・12・4)において、原告は、被告が、「個別注文取消義務」と「システム提供義務」の二つの義務があり、「システム提供義務」において、「売買停止義務」が含まれており、被告が「売買停止義務」を満たさなかったことについて、重過失による債務不履行があり、賠償責任があると裁判所は判断し、損害賠償を命じたものである。本研究では、誤発注の「売買停止義務」について、検討を行いたいと考える。  また、第二に、第二審(東京高判平25・7・24)では、控訴人は、被控訴人が、主に①機械処理により、取消注文に従って、個別注文の取消処理を行う義務(個別注文取消処理義務)、②適切に取消処理ができる市場システムを提供する義務(広義のシステム提供義務)、③取消処理を行うコンピュータシステムを提供する義務(狭義のシステム提供義務)の三つの義務があるとし、証券取引法に由来する「公益及び投資者保護」を図る義務を遵守しなければならないも関わらず、それを怠った旨主張した。   裁判所は、②の適切に取消処理ができる市場システムを提供する義務(広義のシステム提供義務)や③取消処理を行うコンピュータシステムを提供する義務(狭義のシステム提供義務)については、基本的債務として、取消処理ができる市場システムを提供できる債務を負うとし、判決を支持している。研究では、注文取消処理義務およびシステム提供義務の具体的内容について、検討を行う。