ナチ ヒカル   NACHI HIKARU
  名知 ひかる
   所属   朝日大学  保健医療学部救急救命学科 総合医科学講座
   職種   准教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2025/06
形態種別 研究論文(学術雑誌)
査読 査読あり
標題 上下顎骨骨切り術中に経鼻栄養チューブが損傷された1例
執筆形態 共著
掲載誌名 岐阜歯科学会雑誌
掲載区分国内
巻・号・頁 52(1),41-45頁
著者・共著者 鵜飼 哲, 名知 ひかる, 上野 高広, 若松 正樹, 村松 泰徳
概要 口腔外科手術の麻酔管理において、手術操作に起因する経鼻挿管チューブ損傷の報告は散見されるが、経鼻栄養チューブの損傷について、われわれが渉猟しえたかぎりでは報告例はない。今回、顎変形症の手術終了時に経鼻栄養チューブの損傷を発見しえた症例を経験したため報告す。症例は21歳男性で、幼少期の顔面外傷による中顔面劣成長を認めたためLeFort I型骨切り術、下顎枝矢状分割術を施行した。全身麻酔導入後、中顔面の劣成長を伴い経鼻挿管が困難であると予測されたため、経口挿管後、右外鼻孔より胃食道用チューブを咽頭まで挿入し、これをガイドとして利用して経鼻挿管を施行した。その後、術後の栄養管理を目的として左外鼻孔より経鼻栄養チューブを挿入し、鼻翼部において60cmにて固定した。術中に術者よりチューブを損傷したと報告はなく術後にチューブ先端の位置確認のため腹部エックス線撮影を行ったところ、やや深くチューブが挿入されていたため、約5cm抜去した際にチューブの一部に損傷が認められたため、完全に抜去した。LeFortI型骨切り術においては、術野に鼻腔が含まれており、骨ノミや切削器具により経鼻的に挿入したチューブが損傷する可能性が高いと考えられる。今回の症例においても,鼻中隔や鼻腔側壁の骨切り中に薄刃のノミによって損傷された可能性が高いと考えられ、今回われわれは、経鼻栄養チューブ損傷を発見するための対策方法について再考した。手術術野および経鼻栄養チューブを留置している鼻腔長の距離は、約6.5cm-7.5cmのため、外鼻孔から10cm以内に経鼻的に挿入されたチューブが損傷を受ける可能性が高いと推測される。従って、通常よりも10cm長く挿入し、術後X線写真で確認する前に10cm引き抜くことにより、チューブの損傷を早期に確認できるとわれわれは考えた。