カサイ タダカツ   KASAI TADAKATSU
  笠井 唯克
   所属   朝日大学  歯学部 口腔病態医療学講座 口腔外科学
   朝日大学  大学院 歯学研究科
   職種   准教授
発表年月日 2025/05/17
発表テーマ 下顎枝矢状骨切り術におけるスミススプレッダーおよびスプレッティングオステオトーム使用の有用性
会議名 第79回 NPO法人 日本口腔科学会学術集会
主催者 NPO法人 日本口腔科学会
学会区分 全国学会
発表形式 ポスター
単独共同区分 共同
国名 日本
開催地名 長野県松本市
開催期間 2025/05/15~2025/05/17
発表者・共同発表者 笠井唯克、渡邉一弘、安村真一、松下貴裕、畠山大二郎、村松泰徳
概要 【目的】下顎枝矢状骨切り術(SSRO)は、骨切り部が下顎神経と近接しているため、術後に下唇知覚麻痺や鈍麻を生じるリスクをともなう。われわれの施設では、SSROを行う際、リンデマンバーで骨切り線を設定したのち、骨の分割を骨ノミとマレットだけで行ってきたが、2020年2月より、スミススプレッダーおよびスプレッティングオステオトームを併用するように変更した。本研究では、スプレッダー等の使用の有無と、術後の知覚麻痺・鈍麻の発生との相関を調査した。【材料および方法】朝日大学病院で2018年4月から2021年12月までに施行した顎変形症手術症例75症例を調査の対象とした。下顎骨切り術において、骨ノミだけで分割したSSROの症例を[1]群、スプレッダー等を併用して分割したSSROの症例を[2]群、下顎枝垂直骨切り術を行った症例を[3]群とした。術後の下唇の麻痺などの有無は患者本人の自覚症状とし、調査時期は、手術直後、半年後、1年後とした。【結果】術後に下唇の知覚麻痺などを訴えた症例を、各群について集計し、少なくとも一側で麻痺などが生じた症例を分析した。その結果は、手術直後では[1]群:17/24例(70.8%)、[2]群:11/29例(37.9%)、[3]群:4/17例(23.5%)、手術半年後では[1]群:15/24例(62.5%)、[2]群:7/29例(24.1%)、[3]群:3/17例(17.6%)、手術1年後では[1]群:7/24例(29.2%)、[2]群:5/29例(17.2%)、[3]群:1/17例(5.9%)であった。[1]群と[2]群間で、χ2検定をおこなったところ、手術直後ではP値=0.0169、手術半年後では0.0047、手術1年後では0.3017であった。このことから手術直後と手術半年後において、[1]群と[2]群の手技の違いによる下唇の知覚麻痺などの発生頻度に関連性が示唆された。【結論】SSROの術式において、下顎骨の分割にスミススプレッダーとスプレッティングオステオトームを用いることは、下唇の知覚麻痺・鈍麻の発生を低下させるのに有用である。