ヤスオ トシアキ   YASUO TOSHIAKI
  安尾 敏明
   所属   朝日大学  歯学部 口腔機能修復学講座 口腔生理学
   朝日大学  大学院 歯学研究科
   職種   准教授
発表年月日 2025/06/28
発表テーマ ODSラットにおけるアスコルビン酸ナトリウムに対する摂取行動
会議名 日本ビタミン学会第77回大会
学会区分 全国学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 共同
開催地名 北里大学
発表者・共同発表者 安尾 敏明, 岩田 周介,髙橋 慎平, 諏訪部 武, 硲 哲崇
概要 ビタミンは食事から摂取しなければならない必須栄養素であるが、その必要量は微量であるため、動物はどのように過不足なく摂取しているのか、まだ多くの謎が残っている。我々はこれまでに、アスコルビン酸( AsA )の合成能力を欠く ODS/ShiJcl-od/od( ODS )ラットを用いた 48 時間 2 瓶選択試験(動物に蒸留水と味溶液を二瓶で呈示し、味溶液の嗜好性を評価)および 10 秒リック試験(動物が 10 秒間に味溶液を舐めた回数を測定し、味覚感受性 ・ 味覚嗜好性を評価)において、 AsA 欠乏時に AsA を含む酸に対する嗜好率( = 各味溶液摂取量 ÷ 総摂取量 × 100 )およびリック率( = 各味溶液に対するリック数 ÷ 蒸留水に対するリック数 × 100 )が増加すること( Yasuo et al 2019, 2023 )を示したが、その結果には酸味の影響が含まれていた。本研究では、塩味を呈するアスコルビン酸ナトリウム( AsA-Na )を用いた同様の行動解析を、 AsA 充足、 AsA 欠乏( AsA や AsA-Na を 25 日間与えなかった)、 AsA-Na 再摂取( AsA 欠乏で AsA-Na を再び摂取させた)の条件下で行った。
その結果、 AsA-Na に対するリック率は AsA に対するリック率よりも有意に高かったが、 NaCl に対するリック率と有意差はなかった。高濃度の AsA-Na および NaCl に対するリック率は、 AsA 欠乏では AsA 充足および AsA-Na 再摂取に比べて有意に高かった。一方、 100 mM AsA-Na の嗜好率と摂取量は、すべての条件下で 100 mM NaCl のものよりも有意に低く、 100 mM AsA のものと近い値であった。
以上の結果から、 ODS ラットでは AsA-Na に対して同濃度の NaCl と同程度の塩味嗜好性を示すが、長期間の AsA-Na 摂取は抑制されている可能性、 AsA 欠乏状態では、高濃度の NaCl に対する味覚感受性は低下している可能性が示唆された。