キムラ タツヤ   TATSUYA KIMURA
  木村 龍弥
   所属   朝日大学  歯学部 口腔病態医療学講座 インプラント学
   職種   助教
発表年月日 2024/07/06
発表テーマ インプラント専門診療科における口腔内スキャナー使用実績
会議名 公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会
学会区分 全国学会
発表形式 ポスター
単独共同区分 共同
発表者・共同発表者 ○木村龍弥,長谷川ユカ,渋谷光広,中本哲自
概要 【緒言】
口腔内スキャナーによる様々な治療技術が紹介されているものの,欧米での普及率に比較し,わが国の普及率は10%に満たないと想定されている.その理由として口腔内スキャナー導入によりどのような経済的・時間的利点が生じるのかを明確にできていないことに一因があるのではないかと推察される.
【材料と方法】
対象はインプラント専門診療科において,2021年7月から2024年1月までにインプラント印象採得した427症例(光学印象:310症例,通常印象:127症例)とし,印象採得に要した時間を計測した.2群間の比較にはt検定を3群以上の比較には分散分析を用い,p<0.05を有意とした.光学印象と通常印象の比較,インプラント本数,上顎また
は下顎など複数の因子について検証した.加えて,どのような経済的効果が得られたのか検討した.
【結果と考察】
インプラントが1~3本の場合,光学印象法では平均11分15秒(4分59秒~43分35秒)であるのに対し,通常印象法では平均28分15秒(12分52秒~60分12秒)であり有意に長時間必要とした.対象インプラントが1本の場合,光学印象法では下顎よりも上顎の印象採得に有意に長時間必要であるのに対し(p<0.01),通常印象法では有意ではなかった(p=0.19).一方で2本のインプラント印象では,光学印象では上下ほぼ同等の時間を要するのに対し(p=0.37),通常印象では下顎の方が有意に時間を要した(p<0.05).いずれの印象法も対象インプラント本数が増えるほど必要とする時間も増える傾向にあった. さらに,経済的な効果について検証したところ,光学印象と模型レス法を組み合わせることで,内部コストを大幅に低減でき,300症例以上行うことで,時間短縮効果とあわせて,導入が有益であったと考えられる.しかしながら,製作工程において3D模型を製作すると通常印象法よりも内部コストは上昇する.また,複数本の埋入症例で連結によるフルジルコニア補綴を行おうとする場合,多くのシステムで模型レス法を採用できないことから,現状では通常印象法との使い分けが必要になる.今後,口腔内スキャナーをより効率的に普及させるためには,
インプラント複数埋入症例における適用拡大と天然歯補綴への積極的な導入が必要と考えられる.