タジリカ トシヒロ   TAJIRIKA TOSHIHIRO
  田尻下 敏弘
   所属   朝日大学  歯学部 総合医科学講座 外科学(朝日大学病院)
   職種   准教授
発表年月日 2018/07
発表テーマ 胃癌における RNA-helicase DDX6 による HER2,FGFR2 の翻訳制御
会議名 第73回 日本消化器外科学会総会
学会区分 全国学会
単独共同区分 共同
発表者・共同発表者 田尻下 敏弘、徳丸 剛久、棚橋 利行、松井 聡、今井 寿、田中 善宏、松橋 延壽、高橋 孝夫、山口 和也、吉田 和弘
概要 DDX6(別名 RCK/p54) は Human DEAD/H-box に属する RNA helicase gene である.B 細胞リンパ腫細胞株である RC-K8 から単離された t(11:14)(q23:q32) 転座の責任遺伝子である.多くの癌腫において翻訳開始,pre-mRNA のスプライシングなど RNA
二次構造の構築を含む様々な細胞プロセスに関与している.しかしながらその詳細な調節機構,役割については不明な点も多い.我々はこれまで DDX6 が様々な癌細胞株,大腸癌臨床検体において高率に発現していること,癌遺伝子としての役割について報告してきた.胃 癌 で は 数 多 く の 遺 伝 子 異 常 amplification(HER2:22%,KRAS:9%,FGFR2:6%,
MET:2%,EGFR:2%),mutation(PI3K:10%,HER2:5%,KRAS:4%,BRAF:2%) が報告されている.
本研究では胃癌臨床検体を用い DDX6 の発現,HER2,FGFR2 の発現を検証し腫瘍組織では優位に DDX6 が高発現していること,興味深いことに HER2,FGFR2 高発現検体においては高率に DDX6 の高発現が確認された.胃癌細胞株 KATO Ⅲ,HSC39(FGFR2 amplification),MKN7(HER2 amplification) において DDX6 をノックダウンすることで増殖抑制と共に HER2,FGFR2 の発現低下が確認された.
また RIP(RNP Immunoprecipitation)-assay により,DDX6 が HER2,FGFR2 に対してRNA-binding Protein として働いており,DDX6 が HER2,FGFR2 遺伝子の mRNA翻訳レベルでの制御を行っていることが確認できた.
これらの新たな知見は胃癌において DDX6 が新たな分子マーカー,創薬シーズとなりうる可能性を示唆している