エジリ サダカズ   EJIRI SADAKAZU
  江尻 貞一
   所属   朝日大学  大学 教育職員
   職種   教授
発表年月日 2009/12
発表テーマ セスジネズミ属Apodemus 2種における大後頭孔角度と視野への影響.
会議名 日本哺乳類学会
単独共同区分 共同
開催地名 台湾大学
発表者・共同発表者 佐藤和彦,小萱康徳,久保金弥,江尻貞一
概要 齧歯類では、堅い食物を齧るための適応として、咬筋の起始部が眼窩より前方まで延びるという特徴がみられる。このような適応は、しかしながら、前下方への視野を妨げるという欠点をも生み出した可能性がある。その場合、立体的空間で生活する樹上生齧歯類には、明瞭な前下方への視野を確保するための何らかの適応がみられることが予想される。そこで本研究では,半樹上生のヒメネズミ Apodemus argenteus と 地上生のアカネズミA. speciosusの頭蓋計測値を比較することによって、上記の仮説の検証をおこなった。その結果、相対脳重量指数 (IRE; 脳函容積の三乗根÷頭蓋底長)が等しい個体間で比較すると、ヒメネズミではアカネズミに比べて大後頭孔がより腹側に面しており、頭部は吻部がより下がった状態で頸部に連結することが示唆された。したがって、ヒメネズミの大後頭孔にみられるこの特徴は、相対的な脳サイズに起因するものではなく、眼球に対する咬筋前部の位置をより低くすることによって、明瞭な前下方への視野を得るという半樹上生適応であると考えられる。