イワタ シュウスケ   IWATA SHUSUKE
  岩田 周介
   所属   朝日大学  歯学部 口腔機能修復学講座 口腔生理学
   職種   助教
発表年月日 2023/09
発表テーマ 閉経後骨粗鬆症モデルマウスの味覚変調とその分子機構の解析
会議名 第65回歯科基礎医学会学術大会
学会区分 全国学会
発表形式 ポスター
単独共同区分 共同
発表者・共同発表者 川端 由子、髙井 信吾、岩田 周介、實松 敬介、兼松 隆、自見 英治郎、重村 憲德
概要 閉経後の女性は、女性ホルモンの欠乏により骨密度が低下する一方で、味覚嗜好性にも変化を生じることが報告 されている。味覚は、生理的な栄養・ミネラル需要を反映した摂食行動の調節に重要な役割を果たしており、閉 経後の骨カルシウム代謝の異常が末梢の味覚器におけるミネラルやイオンセンシングの変調をきたすことが予想 される。本研究では、閉経後骨粗鬆症 (卵巣摘出(OVX)による骨量減少)モデルマウスを用いて、電解質の呈する味 覚(塩味、酸味、カルシウム味)に対する嗜好性、および味蕾の遺伝子発現変化を解析した。8週齢メスマウスに 偽手術 (sham)および OVX後、10週間通常飼育した。 OVXマウスは、 shamマウスと比較して、骨密度の有意な 低下、また血中カルシウム濃度の有意な増加が認められた。様々な濃度の塩味 (NaCl、 KCl)、酸味 (citric acid)、カルシウム味 (CaCl2)溶液を呈示した時の10秒間リック (舐め)回数を計測した。その結果、塩味および酸 味の嗜好あるいは忌避行動に変化はなかったが、カルシウム味に対する忌避行動が、 OVX群で有意に増強し た。さらに、 shamマウスと OVXマウスの有郭乳頭味蕾を採取し、 RNA-seqによる遺伝子発現変動の網羅的解析 を行った。その結果、 OVX群で金属イオン結合やカルシウムチャネル活性に関連する遺伝子群の発現増加が認め られた。以上より、 OVXマウスはカルシウム味に対する細胞応答が亢進し、忌避性が増強すること、ならびに味 覚器における金属イオン結合やカルシウムチャネル活性関連遺伝子の発現が上昇する可能性が示唆された。