イワタ シュウスケ   IWATA SHUSUKE
  岩田 周介
   所属   朝日大学  歯学部 口腔機能修復学講座 口腔生理学
   職種   助教
発表年月日 2023/09
発表テーマ 甘味受容体サブユニット TAS1R3の活性化・不活性化メカニズムの解明
会議名 第65回歯科基礎医学会学術大会
学会区分 全国学会
発表形式 ポスター
単独共同区分 共同
発表者・共同発表者 實松 敬介、川端 由子、渡邉 雄、岩田 周介、髙井 信吾、重村 憲徳
概要 甘味は、味覚 Gタンパク質共役型受容体の TAS1R2+TAS1R3により受容される。甘味物質や甘味修飾物質に対す る甘味受容体の結合サイトは決定されつつあるが、受容体がどのように活性化・不活性化されるか、その動的な メカニズムは不明なままである。そこで本研究では、分子動力学シミュレーションと甘味受容体機能解析系を用 いて、推定上の Gタンパク質との相互作用部位である TAS1R3の膜貫通ドメインと人工甘味料(シクラ メート)や甘味抑制物質(ギムネマ酸、ラクチゾール、サッカリン)との相互作用について調べた。受容体構造 の活性化モデルと不活性化モデルの比較から、ヒトの甘味受容体に対して甘味料として働くシクラメートが、マ ウス受容体では甘味抑制物質として作用することが明らかになった。甘味抑制物質による受容体の不活性化過程 において、細胞内側の膜貫通ヘリックス III-VI間に形成される水素結合を安定化させる一方で、受容体の活性化過 程において、人工甘味料シクラメートとの相互作用はこの水素結合を切断することが予測された。甘味受容体機 能解析では、この水素結合を構成するアミノ酸残基に変異を与えると受容体機能が失われること、またその周囲 のアミノ酸残基のヒト一塩基多型( R757C)は甘味感受性を低下させた。このことは、分子動力学シ ミュレーションの予測結果を強く支持した。以上のことから、活性化過程において、細胞膜外側に存在する TAS1R3膜貫通ドメインの結合サイトでの人工甘味料との相互作用は、結合サイトとは離れた細胞内側を不安定化 させ、 Gタンパク質との相互作用を進める可能性が示唆された。